理学療法士が紹介|ハイハイを効果的に促す方法

赤ちゃんがハイハイを始めると、「ハイハイっていつから(何カ月から)するの?」「どうやってハイハイをいっぱいさせるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

ハイハイは、ただ移動するための手段ではありません。全身の筋力、左右の協調性、バランス感覚など、その後の発達に関わる要素がギュッと詰まった動作です。

この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、「ハイハイ」について詳しく紹介し、ハイハイの効果的な促し方をアドバイスしていきたいと思います。

目次

ハイハイとはどんな動作か

まずはハイハイの仕組みについて紹介していきます。ハイハイは単に手足を動かしているだけではなく、手足の独立した動き、体幹の安定、そして感覚の統合という3つの要素が組み合わさった、非常に高度な全身運動になっています。

手足を交互に動かす

ハイハイは、「右手と左足」・「左手と右足」がペアになって交互に動く対角線の運動です。片方のペアが床を蹴って前へ進む瞬間に、もう片方のペアが体重をしっかり支えることで、スムーズな移動が可能になるのです。

体幹の「安定性

ハイハイ中は、全身のさまざまな部位が同時に働いています。

  • 体幹
    手足を自由に・力強く動かすためには、体の中心であるお腹まわり(体幹)がしっかり支えられていることが大切です。
  • 肩まわり
    腕で体重を支えながら前に進む力を生み出しています。
  • 股関節まわり
    脚を前後に動かして、推進力を生み出しています。

そのため、ハイハイは全身(特に体幹)の筋力強化に最適な動きとなっているのです。

ハイハイに必要な感覚

ここでは少し難しい話になってしまいますが、ハイハイをするには感覚の発達も欠かすことができません。

手のひらや膝で床の硬さを感じ、それに応じて力の入れ具合を調節する「触覚や固有感覚」や目標物との距離を測り、体の傾きを感じながらバランスを保つ「バランス感覚」を統合することでスムーズなハイハイができるようになります。

ハイハイが完成するまで

ハイハイが移動手段として完成するまでを、大きく4つの段階に分けて説明します。

①ずりばい期(7ヶ月頃)

ハイハイの前段階として、赤ちゃんはずりばいから始めます。お腹を床につけたまま、腕の力や足の蹴りを使って前に進む動きです。

ここでは、腕で体を支える力や、手足を交互に動かす感覚が少しずつ育ちます。

②ロッキング期(8ヶ月頃)

うつ伏せで、お腹が床から離れてお尻が持ち上がり、四つ這いの姿勢(手と膝を床についた姿勢)が取れるようになると、その場で前後にゆらゆらと揺れる動きが見られるようになります。これがロッキングです。

「なかなか前に進まないな」と感じる親御さんも多いと思いますが、このゆらゆら運動は前に進むための準備をしている段階です。ここでは、体重移動の感覚をつかんでいます。

③四つ這い開始期(8~9ヶ月頃)

ロッキングを繰り返すうちに、少しずつ前に進めるようになります。最初はぎこちなく、ウサギ跳びのような動き(両手・両足の同時移動)であったり、同じ側の手足が同時に出てしまったりすることもありますが、徐々に対角線の動きが出てきます。

④四つ這い安定期(10ヶ月頃~)

対角線の動きがスムーズになり、スピードも出てきます。方向転換や段差の乗り越えもできるようになり、ハイハイが移動手段として完全に安定します。

体幹が弱い赤ちゃんは「膝の間隔が広い」、「お尻やお腹の位置が下がっている」などが特徴としてみられます。自分の子にはそのような傾向がないか観察してみてください。

「うちの子、膝の間隔が広いかも」、「お尻やお腹が下がっている気がする」と気になった方は、お気軽にご相談ください。

PT芽吹への個別相談窓口📩

個別のご相談をメールにて受け付けています。また写真や動画をお送りいただければ、よりお子さんの状態に合わせたアドバイスをご提案できます。

▶ お問い合わせフォームはこちら

ハイハイがとても大切な理由

ハイハイを行うことは、単なる移動手段の獲得ではありません。将来の「しっかりとした姿勢」「手先の器用さ」「空間を把握する力」の3つを育てる、重要な全身運動です。

「歩行の質」を高める

四つ這いで自分の体重を支えることで、肩や股関節まわりの大事な筋肉が鍛えられます。これが『木の根っこ』のような安定感を生み出し、将来、「ふらつきの少ない綺麗な歩き方」や、「スポーツにおける力強い動き」を支えられるようになるのです。

「手先の器用さ」を養う左右の連動

右手と左足を交互に出す「対角線の運動」は、脳の右半分と左半分を連携させる高度な訓練です。この左右のチームワークができるようになることで、将来の「お箸や鉛筆の操作」「楽器演奏」といった器用な動き(巧緻動作)の習得がスムーズになります。

「空間把握能力」と「ボディイメージ」の構築

動きながら周囲を見渡し、障害物を避ける経験は、脳内に「自分と物の距離感」の地図を作ります。これが、将来の球技での「ボールの落下地点予測」や、「図形問題の理解」、さらには「自分の体をぶつけずに動かす」という身体感覚につながります。

「早く歩くこと」より「今しかできない筋トレ」
ハイハイの期間は、一生で今しかない、貴重なトレーニング期間です。そのため、無理に早く歩かせようとせず、ハイハイをたくさんさせてあげることを意識しましょう。

ハイハイをたくさん促す方法

環境づくり(スペース・床材)

ハイハイをたくさんさせるための第一歩は、環境を整えることです。

  • スペース
    家具の隙間が狭いとハイハイしにくくなります。できるだけ広いスペースを確保してあげましょう
  • 床材
    フローリングは滑りやすく、膝が痛くなりやすいため、「ジョイントマット」を敷くとハイハイしやすくなります

おすすめの商品:ジョイントマット

遊びを使った誘い方

赤ちゃんは「楽しい」と感じる方向へ自然と動いていきます。以下のような関わり方をしてみましょう。

  • 赤ちゃんから少し離れたところで親が手をたたいて呼びかける
  • ティッシュや布など興味を引くものを少し遠くに置く
  • トンネルくぐりなど「くぐる・進む」動作を引き出す遊びを取り入れる

おすすめの商品:プレイトンネル

おもちゃを使った促し方

ハイハイを引き出しやすいおもちゃを使うと、とても効果的です。

  • 転がるおもちゃ:赤ちゃんの追いかけるという動きを引き出します
  • 音が鳴るおもちゃ:興味を引きやすく、前に進む意欲につながりやすいです

おすすめのおもちゃ:自走式おもちゃ

このおもちゃのおすすめポイントは、円を描いて動くモード(近い距離での誘導)と、ランダムに動くモード(遠い距離までの誘導)の2通りの遊び方ができるところです。さらにセンサーで障害物に当たらないように動く仕様にもなっています。

高這いとは

ここではハイハイを獲得した後の高這いについても、少しだけ触れておきたいと思います。

高這いとはどんな動作か?

高這いは10ヶ月頃(ハイハイが安定してきたくらい)に見られる動作で、膝を床につけずに手と足の裏だけで体を支えて進む動きのことです。見た目は「クマ歩き」に近い形です。

高這いが発達に与える意味

高這いでは、膝を使わずに足全体で体重を支えるため、ハイハイよりもさらに高い体幹・股関節まわりの筋力が必要になります。また、ハイハイよりも重心が高くなるため、バランスを保つ難易度も上がります

そのため、高這いもハイハイと同じように将来のしっかりとした体づくりのための最高のトレーニングです。是非たくさん経験させてあげましょう。

高這いを促す方法

  • 障害物(大人の体でもOK)をあえて置き、膝をつかずに進む場面を作る
  • 「坂道」「段差」を昇ることができる環境を作ってあげる

おすすめの商品:ソフトブロック

斜面を昇る練習を繰り返すことで、高這いの動きをより効果的に促すことができます。

まとめ

ハイハイは、赤ちゃんの移動手段であると同時に、体幹・筋力・左右の協調性・空間把握能力など、将来の発達に関わる多くの要素を育てる全身運動になっています。

ハイハイ期は一生に一度しかない貴重な時期です。焦って立たせようとせず、今この時期にしかできないハイハイをとことん楽しんでいきましょう。

ハイハイがなかなか出ない・ハイハイをしないお子さんをお持ちの方はこちら
ハイハイしない赤ちゃんの記事へ

ハイハイ期の発達全体を知りたい方はこちら
9〜12ヶ月の月齢別記事へ

ナビゲーションメニュー

4つのジャンルから、知りたい情報をすぐに探せます。

プロフィール

理学療法士。小児発達領域に10年以上従事。
乳幼児期を中心に、同じお子さんに週に数回ペースで継続的に関わりながらリハビリに携わっていた経験もあります。日常の動きや経過をじっくり追えたことで、停滞しやすいポイントや発達のプロセスを肌感覚で把握できたことが、私の強みになっています。
本サイトでは、その臨床経験をもとに、専門家でない保護者の方でも自宅で実践できる具体的なアプローチをお伝えすることを最優先にしています。

目次