理学療法士が紹介│つかまり立ち・つたい歩きを効果的に促す方法

赤ちゃんが『つかまり立ち』『つたい歩き』をするのはいつ頃なのか、またどうすれば促せるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

つかまり立ちやつたい歩きは、ただ立って横に移動できるようになるための通過点ではありません。脚で体重を支える力やバランス能力が育まれ、その後の歩行獲得に深く関わってきます。

この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、つかまり立ち・つたい歩きの仕組みや完成するまでの段階、そして日常でできる関わり方をわかりやすく紹介していきます。

目次

つかまり立ちとは?

『つかまり立ち』は自力で家具などに掴まって立つ姿勢のことで、8ヶ月頃からできるようになってきます。

つかまり立ち獲得までの順番

一般的に自分で『つかまり立ち』をするようになるまでの順序

  1. 何かにつかまりながら膝立ちになる
  2. 大人が立たせてあげると、つかまりながら立ち続ける
  3. 自分で何かにつかまって立ち上がる

つかまり立ちに必要な3つの能力

下肢の筋力

立つ姿勢は両脚で自分の体重を支えるため、それを支えられるだけの筋力が必要になってきます。

上肢の筋力

つかまって立ち上がるときに腕の力を使って体を引き寄せる動作があり、またつかまって上体を支えるためにも必要です。さらに体がふらつかないように安定させる役割もあります。

バランス能力

つかまり立ちは手の支えがあるとはいえ、おすわりに比べて体が床に接している面積が狭いです。また重心の位置も高くなるため、姿勢が不安定になりやすいです。そのため、より高度なバランス能力が必要となってきます。

立つ準備ができているかの確認方法

臨床では赤ちゃんがつかまり立ちをする準備ができているかどうか確認するとき、乳児を脇で支えて垂直に抱き上げてみます。
このとき、あたかも空中に座っているような姿勢をとっている場合(いわゆるsitting on airの姿勢)、まだ立つ準備ができていないことを表しています。
そのため8ヶ月に近づいたからといって、この状態の赤ちゃんにつかまり立ちの練習をさせるのはまだ早いです。


つかまり立ちの練習方法

つかまり立ちを安全に練習するための環境づくりのポイントを紹介します。

安定した家具

つかまり立ちが安定していない段階では、ソファーやローテーブルなど、掴んでも動かない頑丈な家具で練習しましょう。また高さは『赤ちゃんの胸から脇の下くらいの高さ(30~40㎝くらい)』が目安です。

床の硬さ

柔らかい床上(布団の上など)ではなく、ある程度硬さのある床上で行いましょう。柔らかい床だと足元が安定せず、不必要に難易度が上がってしまいます。

裸足で行う

靴下は滑りやすいため、裸足で行いましょう。また裸足の方が『足の裏で床を捉える感覚』が育ちやすいメリットもあります。


つかまり立ち練習をするときの注意点

練習中に気をつけてほしいポイントをまとめました。関わり方と合わせて確認しておいてください。

安全対策

大人は赤ちゃんの近くで見守り、バランスを崩してひっくり返ってもすぐに支えられるようにしましょう。

軽くて簡単に動いてしまう家具などに赤ちゃんが近づかないような環境設定をしましょう(見ていないときに勝手に立ち上がると、バランスを崩して勢いよく倒れてしまう危険性があるため)。

無理に立たせようとしない

両脇を強く持ち上げて(過剰に補助して)立つ練習をすることは意味がありません。なぜなら足の裏にしっかりと体重が乗らないため、立ち上がる感覚の学習にならないからです。


要注意の目安

つかまり立ちの発達で気になるサインが見られた場合の目安をまとめました。あくまで参考として、気になることがあれば相談してください。

獲得の遅れ

赤ちゃんの発達は個人差があるため、必ずしも異常とは限りませんが、10ヶ月頃になると9割以上の赤ちゃんがつかまり立ちを獲得できるとされています。そのためその時期を過ぎてもなかなかつかまり立ちを獲得しない場合には注意が必要です。

異常姿勢

つかまり立ちをしたときに

  • ほとんどつま先たちで立っている
  • 常に左右どちらかに偏って体重をかけている(脚・手どちらか一方のみ使うなど)
  • つかまっている台に上体が乗っていて脚への荷重が少ない状態が1ヶ月以上続く

つたい歩きとは?

赤ちゃんがつかまり立ちをした状態から、家具や壁などをつたって横方向に歩く移動のことです。10ヶ月頃から徐々にできるようになってきます。

つたい歩きに必要な3つの能力

つかまり立ちの安定性

つたい歩きをするためには、先ほどのつかまり立ちが安定していないとできません。そのためつかまり立ちが安定して、初めてつたい歩きへと移行することができるようになるのです。またこの頃になると手への荷重がかなり減って、ほとんど脚で体重を支えることができます。

骨盤の左右の安定性を保つ筋力

つたい歩きをするためにはお尻まわりにある筋力がさらに重要となります。なぜならつたい歩きはつかまり立ちと違って、足を横に出すときに片足立ちになる瞬間が生まれるからです。そのため骨盤の左右の安定性を保つ筋力がしっかり発達している必要があります。

バランス能力

つかまり立ちは同じ姿勢を保つためのバランス能力が必要でしたが、つたい歩きはさらに難易度が上がり、動きながら姿勢を崩さないようなバランス能力が必要となってきます。この高度な経験が、後の歩行獲得につながっていきます。

つたい歩きのステップアップ

つたい歩きにはいくつかのパターンがあり、難易度の低いものから順番に獲得していきます。

  1. 台(テーブルなど)を横に真っすぐつたい歩きをする(10ヶ月頃)
  2. 台(テーブルなど)の角をつたい歩きで曲がる(11ヶ月頃)
  3. 壁つたいで横に真っすぐつたい歩きをする(11ヶ月頃)
  4. 壁つたいで角を曲がる(11~12ヶ月頃)

※月齢はあくまでも目安です

自分のお子さんの現在地に合わせて、次はどの練習をしたら良いかの参考にしてください。


つたい歩きの練習方法

つたい歩きの獲得レベルに合わせた関わり方を紹介します。日常の遊びの中に取り入れてみてください。

つたい歩き獲得前

まだつたい歩きを獲得していない赤ちゃんに対してつたい歩きを促す場合、『1~2歩進めば届く位置(掴んでいるテーブルやソファーの上)』に好きなおもちゃを置いてみてください。おもちゃへの興味がつたい歩きを行うきっかけになります。そのとき左右のどちらか一方だけではなく、両方均等に促していきましょう。上達してきたら徐々に距離を遠くしていくことも大切です。

壁つたい歩きの練習方法

先ほど紹介した、つたい歩きのステップアップで壁つたい歩きを促したい場合、ウォールステッカーを貼って誘導すると良いです。このときステッカーを少しずつ間隔を開けて横に並べることで、連続的に進むことができます。
※ステッカーの高さは赤ちゃんの目線くらいが良いです。


壁つたい歩き獲得後

色んな所でのつたい歩きに慣れてきたら、赤ちゃんがつかまっている台の背中側にもう一つ台を置いてみましょう。それによって赤ちゃんの方向転換を促すことができ、このとき片手を離す、場合によっては一瞬両手が離れる動きがあるため、手で支えないで歩く(歩行)前段階の練習になるのでおすすめです。

おすすめのおもちゃ

赤ちゃんがつかまり立ちやつたい歩きを楽しく行うことができます。丸いテーブル型なので、角がなく安全となっており、また回りながら移動するという練習にもなります。
※このおもちゃは少し軽量なので、必ず大人が近くで見守っているときに遊ぶようにしましょう(大人がテーブル部分を支えて固定しておく方が安心です)。


つたい歩き練習をするときの注意点

練習中に気をつけてほしいポイントをまとめました。関わり方と合わせて確認しておいてください。

安全対策

キャスター付きの家具は動いてしまうため、バランスを崩して転倒する危険があります。つたい歩きの練習中はキャスター付きの家具に近づかないよう注意しましょう。またテーブルや家具の角を保護したり、コード類に足が引っかからないようにしたりすることも重要です。

大人は赤ちゃんのすぐ後ろで見守り、バランスを崩したときにすぐ支えられる体勢でいましょう。

歩行器(ベビーウォーカー)の使用

歩行器のデメリット

  • 赤ちゃんが自分の力でバランスをとる必要がなくなる。
  • つま先で床を蹴って進む癖がつきやすい

そのため足裏全体で踏ん張る「つかまり立ち」やその後の「自立歩行」の獲得をかえって遅らせてしまう可能性があるので、使用は避けることをおすすめします。


要注意の目安

つたい歩きの発達で気になるサインが見られた場合の目安をまとめました。あくまで参考として、気になることがあれば相談してください。

獲得の遅れ

赤ちゃんの発達は個人差があるため、必ずしも異常とは限りませんが、11ヶ月頃になると9割以上の赤ちゃんがつたい歩きを獲得できるとされています。そのためその時期を過ぎてもなかなかつたい歩きを獲得しない場合には注意が必要です。

異常動作

つたい歩きをしたときに

  • つま先たちになりながら移動する
  • 進む方向が左右差がある(極端に片方が苦手)
  • 頻繁に転倒する
PT芽吹への個別相談窓口📩

個別のご相談をメールにて受け付けています。また写真や動画をお送りいただければ、よりお子さんの状態に合わせたアドバイスをご提案できます。

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まとめ

今回は、つかまり立ちとつたい歩きの仕組みや練習方法、日常での注意点について紹介しました。

つかまり立ちからつたい歩きへの過程は、歩行獲得に向けた大切な時期です。毎日の関わりの中で、安全な環境を整えながら赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。

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