理学療法士が教える|体幹が弱い子供の特徴チェックと運動遊び

バランスボールに座る子どもを、大人がサポートしている写真

「歩いていると、なんだかすぐ転んでしまう」

「座っている姿勢がいつも崩れていて、すぐ横になる」

「少し遊んだだけなのに、すぐ『疲れた』『抱っこ』と言う」

お子さんのそんな様子を見て、不安を感じていませんか?

これらは、体の軸となる『体幹』の弱さが原因の可能性があります。体幹は動きに関わるだけでなく、正しい姿勢を維持したり、集中して取り組む力や手先の器用さにまで影響したりするのです。

この記事では、小児発達領域のリハビリに10年以上携わってきた理学療法士の視点から、体幹が弱い子の特徴とその見分け方、体幹を鍛える遊びなどを詳しく紹介していきます。

目次

体幹が弱い子供の特徴

体幹の弱さは、乳児期には『姿勢が保てない』という形で出てきます。幼児期になると、『動きのぎこちなさ』や『疲れやすさ』として現れることが多くなります。

乳児期の特徴

1歳頃までの赤ちゃんは、重力に逆らって自分の体を発達させていきます。そのため体幹が弱いと、姿勢を保つことそのものが負担になります。

  • お座りでグラグラする
    体幹で姿勢を支える力が不十分なため、座った状態を保つことができず、すぐに姿勢が崩れてしまいます。
  • ずりばいをしない
    体幹が弱いことで、頭と胸を床から持ち上げ続けられなかったり、左右への重心移動ができなかったりして、うつ伏せを保つこと自体が大変になってしまいます。
  • ハイハイが遅い
    四つ這いの姿勢を保ちながら手足を交互に動かすには、高い体幹の安定性が求められます。それが難しいためハイハイに進みにくくなります。

乳児期の体幹の弱さが気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。


▶ハイハイしない赤ちゃんの原因と関わり方

幼児期の特徴

体幹の弱さは年齢によって表れ方が変わります。お子さんの年齢に合わせて確認してみてください。

1歳半〜3歳

1歳半を過ぎると、歩行が安定して本格的に『重力』に逆らう姿勢・動作になります。

平らな場所を歩いていて転んでしまう子どものイラスト

体幹が弱いお子さんはお腹に自然と力を入れて身体を安定させる力が未熟なため、骨盤が前に傾きやすく、筋肉ではなく関節の突っ張りで立つ姿勢になりやすいです。

その結果、ベタベタした歩き方になり、平らな場所でもつまずいたり転んだりしやすくなります。

3歳〜5歳

幼稚園や保育園での集団生活が始まり、ダイナミックな動きが増えてきます。

大人に抱っこをせがむ子どものイラスト

体幹が弱いお子さんは大きな筋肉を常にガチガチにさせて、身体を安定させようとするため、人一倍エネルギーの消耗が激しいです。

そのため公園に着いてすぐ「だっこ!」と言ったり、すぐにゴロゴロ横になりやすいという特徴があります。実際の理学療法の現場でも、同年代の子と比べてこうした様子が目立つお子さんをよく見かけます。

5歳〜6歳

この時期は、幼児期の中で最も高度な「体幹の持久力」と「手先の器用さ」が求められてきます。

椅子に座って絵を描くとき、前傾姿勢になっている子どものイラスト

座る姿勢を保つことが苦手なため、疲れてくると、肩や腕、あごのまわりをガチガチに力ませて上半身を無理やり固定しようとします。

その結果、ハサミや鉛筆の使い方が不器用だったり、文字を書くときに顔が机にギリギリまで近づいていってしまうといった特徴が表れやすいです。

体幹が弱い子供の具体例

体幹が弱い子供の『具体的な特徴』を以下に示すので、参考にしてください

1歳半〜3歳のチェックリスト

座る□ 背中が丸まり、後ろにひっくり返りそうになっている
動き□ 段差のない平らな場所で、つまづいたり転んだりしやすい
しゃがむ□ 何かを拾うときに、膝を曲げない

3歳〜5歳のチェックリスト

座る□ 椅子に座ると、すぐに体が傾いたり机に突っ伏したりする
立つ□ 靴を履くときなど、片足立ちができず何かに寄りかかる
動き□ 走っていて急に止まったり曲がったりするのが苦手
手先□ スプーンやお絵描きをするとき、最初から肩や腕全体に力が入りすぎる

5歳〜6歳のチェックリスト

座る□ 椅子に座っていて、疲れてくると顔が机に近づいていってしまう
動き□ ケンケンをすると、その場で激しくふらつく
手先□ 鉛筆やスプーンを「グー」で強く握りしめる、筆圧が極端に濃い、または薄すぎる

※これらは、あくまでも目安ですので、当てはまるものがあっても、それだけで発達に問題があるとは言えません。

お子さんの姿勢や動きが気になる場合は、お気軽にご相談ください。
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なぜ体幹が弱いのか?

お子さんの体幹が弱く見えるのは、決して『やる気』や『筋力不足』だけが原因ではありません。

環境要因

公園のアスレチックで遊ぶ子どものイラスト

凸凹のある地面や傾斜、アスレチックといった『不安定な場所で全身のバランスを取る経験』が少ないと、体幹の筋肉が働く機会自体が不足してしまいます。そのため平らな床が中心の生活環境では、体幹を鍛える刺激が自然と少なくなり、体幹が弱く見えてしまうのです。

個人差要因

丸太渡りをしていてバランスを崩す子どものイラスト

姿勢のコントロールに関わる神経系の発達がのんびりなケースがこれに当てはまります。動く直前に無意識にお腹に力を入れる、バランスが崩れた瞬間に背筋をキュッと縮める、といった『脳からの姿勢コントロールの命令』を脳がまだ十分に学習しきれていないため、体幹が弱く見えてしまう場合があります。

体質要因

	床に横すわりをし、片手を床について体を支えている子どものイラスト

医学的な疾患ではないものの、生まれつき筋肉や靭帯の張りがマイルドに緩い『低緊張傾向』という体質によって体幹が弱くなってしまう場合があります。姿勢をキープするために、人一倍の筋力が必要な身体的特徴がみられます。

「低緊張の体の特徴や、乳児期からの関わり方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。」
▶低緊張・過緊張の赤ちゃんの特徴と関わり方

障害要因

発達障害(ASD・ADHDなど)や神経・染色体疾患が背景にある場合もあります。このような場合は専門機関への相談をおすすめします。

体幹を鍛える遊び・関わり方

幼児期の体幹を鍛えるときは、大人のような腹筋・背筋といった筋トレではなく、日常の中で自然に体幹が働くような遊びをたくさん経験させてあげることで鍛えていきましょう。

室内でできる遊び

布団山登り

積み重ねた布団によじ登る子どものイラスト

敷布団や枕を重ねて山を作り、よじ登ったり乗り越えたりさせてみてください。不安定な面の上でバランスを取ることで、体幹全体への良い刺激になります。

高這い 

高這いをしている子どものイラスト

お腹を床から離した状態で、手と足だけで移動することによって、体を支えるための体幹に強い負荷をかけることができます。

この布団山登りや高這いを引き出しやすい、室内遊具があります。ぜひ活用してみてください。


バランスボール

大人にサポートされながらバランスボールに座る子どものイラスト

不安定な場所に座り、姿勢を保とうとバランスを取ることで体幹を鍛えることができます。体幹の弱い幼児の能力に合わせて、球体ではなくピーナッツ型を推奨します。
※必ず大人がサポートし、安全な場所で行ってください。


トンネルくぐり 

トンネルをくぐっている子どものイラスト

トンネルをくぐるためには、低い姿勢で進むことが必要です。この低い姿勢を保ったまま進む動きも、体幹への働きかけとして有効です。


タオル引っ張り

	大きなバスタオルに座り、大人に引っ張ってもらっている子どものイラスト

大きめのバスタオルや毛布の上に子どもを座らせ、大人が優しく引っ張ってみてください。進む・止まる・曲がるときにかかる遠心力に耐えることが、体幹にとって効果的な負荷になります。

屋外・公園でできる遊び

ブランコ 

ブランコに乗っている子どものイラスト

揺れに合わせて体のバランスを取り続ける動きが、体幹の発達を後押しします。

ジャングルジム 

ジャングルジムで遊ぶ子どものイラスト

登る・渡るといった様々な全身運動を通して、体幹の力が自然と育っていきます。

平均台 

丸太の平均台の上を歩く子どものイラスト

幅の狭い台の上で左右にバランスを取りながら歩く動きが、体幹の安定性を養います。

芝生・斜面を歩く 

芝生の斜面を歩いて下りる子どものイラスト

足元が不安定なため自然と体幹に力が入り、歩くだけでも体幹への十分な運動になります。

日常生活の中での工夫

椅子に座った姿勢の見直し

椅子に座る子どもの足元に雑誌を積み重ね、足の裏を床につけている様子のイラスト

椅子に座っているときに姿勢が崩れやすい場合、足元はどうなっていますか?椅子が高く、床に足の裏がついていないのなら、足の裏が着く設定にしてあげると、姿勢が崩れにくくなります。

具体的には椅子の高さを低いものに変更してあげる、またはちょうど良い高さの台(滑らないものであれば何でも良いです)を用意してあげてください。

抱っこで密着しすぎない 

大人が体を密着させすぎずに子どもを抱っこしている様子のイラスト

抱っこのときにあえて少し体を離すことで、子ども自身が姿勢を保とうとする力が引き出され、それが体幹を鍛えることにつながります。

十分な休息を確保する 

クッションの上で休んでいる子どものイラスト

体幹が弱い子は姿勢を保つだけで多くのエネルギーを消耗します。活動と休息のバランスを意識してみましょう。そのメリハリが成長を効率的にしてくれます。

まとめ

体幹は、特別なトレーニングで鍛えるものではありません。毎日の遊びの中で、自然と身体を鍛えてあげるような環境を整えてあげることが一番大切なことです。

体幹が弱い子供は、靴選びも歩行の安定に大きく影響します。こちらもあわせてご覧ください。

▶【理学療法士が教える│ファーストシューズの選び方・履かせ方】

このサイトの発達ガイドをまとめた記事はこちらです。月齢別のチェックリストや各動作のつながりを一覧で確認できます。
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