赤ちゃんが生まれると、「首すわりっていつ(何ヶ月頃)するの?」、「首すわりを促すにはどうすればいいの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
首すわりは、ただ縦抱っこができるようになるための通過点ではありません。視野の広がり、手の発達、そしてその後の寝返りやハイハイへのつながりなど、赤ちゃんの発達に深く関わってきます。
この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、首すわりの仕組みや完成するまでの段階、そして効果的な促し方をわかりやすく紹介していきます。
首すわりとは?
『首すわり』を獲得するとは、赤ちゃんが自分の力で頭を支えられるようになることです。この章では、首すわりの判断基準と、首の動きと目の発達がどのように関わっているのかについても説明していきます。
首すわりの定義
『首がすわる』とは、以下の『3つの条件を同時に満たした状態』を指します。

- 引き起こしで頭がついてくる
仰向けで寝ている赤ちゃんの両手首を持って、ゆっくりと引き起こします。そのときに頭が後ろに取り残されずに、体幹の動きと一緒に連動してついてきて、上半身が垂直になるまで引き起こすことができる。 - うつ伏せで頭を持ち上げ続ける
平らな床の上で、赤ちゃんが自分の力で頭を持ち上げ、45~90°くらいを数分間キープできる。 - 縦抱き・お座り姿勢で頭がグラつかない
縦抱きやお座り姿勢にしたときに、軽く赤ちゃんを揺らします。そのときに頭がグラグラしないで安定している。
『首すわり』を確認するときのときの注意点
- 引き起こしを行うとき、無理に持ち上げたり、勢いよく持ち上げたりすると、赤ちゃんの首に負荷がかかってしまい危険なため注意してください。
- 縦抱きのときに、赤ちゃんが前傾姿勢で大人の体に顔が寄りかかっている場合は、安定していても正確な判断ではないため、頭を大人の体から離して確認する必要があります。
首すわりと目の関係
首がすわるためには首の筋肉が鍛えられる必要があります。その首の筋肉が鍛えられるためには、目で物を見る(追う)ことが大切です。
具体例
『目で物を見る(追う)』→『首も一緒に動く』→『首を持ち上げる』→『首の筋肉が鍛えられる』→『首がすわる』
また首がすわって、頭が安定することで物をブレずに見ることができるようになるため、首すわりがその後の目の発達を助けるという関係性にもなります。
首すわりが完成するまで
首すわりは、首の前側・後ろ側の筋肉が少しずつ鍛えられ、あらゆる方向に動かせるようになることで完成します。ここでは、首すわりが完成するまでの段階を月齢ごとに大まかに紹介していきます。
0~1ヶ月の段階
『首すわり』までの過程として、0~1ヶ月の段階では主に以下の4つのことができるようになります。
1.赤ちゃんをうつ伏せにすると少しだけ頭を持ち上げる(0~45°)。
2.目の前の物を注目して見ることができる。
3.顔は動かないが、目で物を追う(顔の正面近く限定)。
4.うつ伏せで顔の向きを変える。
この時期は、まだ視力が十分に育っていないため(20~30㎝先がぼんやり見える程度)、『大人の声』や『おもちゃの音』をメインにして、首の動きにつなげていきましょう。
注意点
うつ伏せでは赤ちゃんから絶対に目を離さないようにしてください。まだ十分に頭を持ち上げることができないため、顔が布団に埋もれてしまう危険性があります。
1~2ヶ月の段階
1~2か月は、少しずつ首の力がついてくる段階です。
うつ伏せで0~45°程度しか持ち上がらなかった頭が、一瞬ではありますが『45~90°くらい(正面近く)』まで持ち上げることができるようになります。
この『大きく頭を持ち上げるという運動』が、首の力をぐっと鍛えていきます。
2~3ヶ月の段階
この時期は、ますます首の力がついてきて、首すわりまであと一歩となります。
この段階では、主に以下の3つのことができるようになります。
- 顔を動かしながら、目で物を追う。
- うつ伏せで頭を大きく持ち上げ続ける(45~90°)。
- 引き起こしで頭がついてくる。
これらができても、縦抱きやお座り姿勢での頭の安定はまだこれからのため、完全に首がすわった状態とは言えません。
3~4カ月の段階
この段階で、縦抱きやお座り姿勢で頭が安定することにより、首すわりが完成します。
『首の前側の筋肉(引き起こしで頭を持ち上げる筋肉)』と『後ろ側の筋肉(うつ伏せで頭を挙げる筋肉)』が鍛えられ、さらにあらゆる方向へ首を動かせるようになることで、縦抱きやお座り姿勢でも頭が安定するのです。
※首すわりの完成時期は、一般的に生後3〜4ヶ月頃とされていますが、個人差があるため多少前後することもあります。
おすすめの関わり方
ここでは、首すわりを促すためのおすすめの関わり方を4つ紹介していきます。
タオルロールを使う

うつ伏せで赤ちゃんの『胸の下にバスタオルを丸めた物』を入れてあげます。そうすることで赤ちゃんが頭を持ち上げやすくなります。まだ大きく頭を持ち上げ続けることのできない時期にやってみてください。
※両手がお尻の方に引けてしまわないようにして、できれば肘が床につくような高さに設定してあげるのが一番良いです。また頭を持ち上げる角度が低いうちは、重心が前方に移動してしまいやすいため、『お尻を抑えて位置が動かないようにしてあげる』工夫もおすすめです。
リクライニングしたうつ伏せ練習

大人がソファで少しリクライニングした状態で、赤ちゃんを胸の上で対面(うつ伏せ)にしてみてください。リクライニングした姿勢では体全体が斜めになるため、頭が重力の影響を受けにくくなります。そのためフラットな床より少ない力で頭を持ち上げることができます。首の力がまだ十分に育っていない時期に、無理なく頭を持ち上げる練習としておすすめです。
首を回す力を鍛える

赤ちゃんのおもちゃを目で追うという特性を活かして、首を左右に動かす力を鍛えていきましょう。おもちゃは、そのときに動かせる範囲内で大きくゆっくり動かしてあげると良いです。また色鮮やかで、音の鳴るような物が赤ちゃんの興味を引きやすいです。
向き癖対策として、おもちゃを使って『左右均等』に首を動かすことを意識してみてください。
うつ伏せ練習の進め方(時間・頻度)

赤ちゃんの首の力の発達具合によって、うつ伏せで頭を挙げる練習の時間や頻度を工夫する必要があります。最初は1回10~30秒を1日2~3回から始めていき、徐々に慣れてきたら少しずつ増やします。
最終的に『1回数分を1日の中で複数回』できることを目指しましょう。
- 赤ちゃんが『機嫌の良いタイミング』で行う。
- 赤ちゃんが泣いたり、疲れて頭が挙がらなくなったら、『秒数に関わらず終了』する。
日常の注意点
ここでは、日常生活の中で気をつけたい2つの注意点を紹介していきます。
縦抱っこ時の注意点

首がすわる前は、基本的に『縦抱っこ』ではなく、頭が安定しやすい『横抱っこ』を選ぶようにしましょう。

縦に抱く場面では、頭が激しく揺れることで首や脳に大きな負担がかかる恐れがあります。やむを得ず縦に抱くときは、赤ちゃんの顔を大人の胸や肩の上に完全に乗せて安定させ、急にのけ反ってしまっても安全なように、頭の後ろを手で軽く支えておきましょう。
急に頭を動かさない
赤ちゃんの体を持ち上げたり、向きを変えたりするときは勢いをつけずに、ゆっくりと行ってあげてください。また頭だけが後ろに取り残されないように、頭を支える意識を常に持つようにしましょう。
赤ちゃんをあやす方法として、『左右に激しく揺さぶる』、『たかいたかい』するのも首や脳に大きな負担がかかる危険性があるのでやめましょう。
首すわりが大切な理由
ここでは、首すわりがとても大切な理由を3つ紹介していきます。
運動発達の基礎
赤ちゃんが歩くことができるようになるまで、座る・ハイハイなど様々な動作の過程がありますが、この首すわりはそれらの最初のステップなのです。首すわりができて初めて、次の寝返りへと移行していけるようになります。
親御さんが一番最初に赤ちゃんの成長を大きく感じられるポイントでもあります。
視野が広がる
首が安定すると、自由に顔を動かすことができるようになるため、『人の顔を見る』、『おもちゃを目で追う』、『周囲を見渡す』ことが簡単になります。それによって視覚がたくさん刺激されて、脳の発達がより活発になっていきます。
上肢機能の発達
頭を支えることにエネルギーを使わなくて済むため、『手を前に出す』、『おもちゃに手を伸ばす』、『物をつかむ』といった手の動作が行いやすくなります。この手を使う動きもまた、脳の発達にとって大切な刺激になります。
このように、首すわりは単に縦抱っこが楽になるという育児上の利便性だけでなく、赤ちゃんの様々な発達に関与しているのです。ぜひ、日々の関わりの中で首すわりをたくさん促してあげましょう。
まとめ
今回は、首すわりの仕組みや完成するまでの段階、日常での関わり方について紹介しました。
首すわりは生後3〜4ヶ月頃に完成する、赤ちゃんの発達の大きな節目です。毎日の関わりの中で、うつ伏せ練習などを無理なく取り入れながら、赤ちゃんの成長をサポートしていきましょう。
首すわり期の発達全体を知りたい方はこちら
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