理学療法士が教える|生後5〜8ヶ月の発達と関わり方・おもちゃ選び

「この時期の子どもに親は何をしてあげればいいの?」

「お座りはいつ頃できるようになるの?」

「おもちゃで遊ばせたいけど、何を選べばいいかわからない」

そんな疑問を抱えていませんか?

生後5〜8ヶ月は、周りの世界への好奇心が爆発することが多い時期です。寝返りやお座りで視界が広がり、自ら動いて様々なものに触れ、確かめる経験によって、知能と体がグンと成長します。

この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、5〜8ヶ月の発達全体の見方と、日常でできる関わり方・おもちゃ選びのポイントを紹介したいと思います。

目次

5〜8ヶ月の発達全体マップ

この時期に育つ発達の分野を一覧で整理します。それぞれの詳細は後のセクションで紹介します。

発達の分野この時期に見られる主な特徴
運動発達寝返り・お座り・ずりばい
重要な3つの必須動作ボトムリフティング・エアプレーン・ピボットターン
手・指の発達物を掴む・持ち替える・両手で持つ
認知・感覚の発達いたずらが始まる・人見知りが現れる
言語・コミュニケーションの発達喃語・名前への反応

運動発達

この時期に獲得できる大きな運動は「寝返り」、「お座り」、「ずりばい」の3つです。それぞれが独立した発達ではなく、一つひとつが次の動きへと繋がっています。

寝返りで、世界が180度広がる

寝返りは5~6ヶ月くらいで獲得する動作ですが、「仰向け→うつ伏せ」「うつ伏せ→仰向け」の2パターンがあり、「うつ伏せ→仰向け」の方が先にできるようになることが多いです。

首すわりで育てた首の安定が、全身の回転運動へ結びつき、寝返りをできるようになります。

お座りで、手が自由になる

お座りは一般的に7ヶ月くらいに獲得すると言われていますが、個人差が大きい(5~9か月)項目の一つです。そのため多少遅れていても過度に心配する必要はないと思っています。

お座りが安定するためには、倒れそうになったときに反射的に手をつく「保護伸展反応」の出現が大切です。この反応が出てくることで、バランスを崩しても自分で体を支えられるようになります。

ずりばいで、行きたい場所へ向かう

お腹を床につけたまま腕や足で体を引きずって前に移動するずりばいは、赤ちゃんが自分の意思で移動する最初の方法です。左右の手足を交互に使うこの動きは、後のハイハイや歩行の回旋運動に繋がっていきます。

運動発達に重要な、3つの必須動作

実は、寝返り・お座り・ずりばいと並行して、この時期にできるようになる3つの重要な動作があります。

ボトムリフティング:お尻や足を持ち上げる

5~6ヶ月頃になると、仰向けの状態でお尻や足を持ち上げる動作ができるようになります。この動作は、骨盤・体幹・重心移動の3つのポイントを鍛える動きで、「寝返りの回転運動」と、「お座りの背中を伸ばす力」の両方に影響します。

私がよく見た事例では、ボトムリフティングが少ない赤ちゃんはお座りが不安定になりやすく、逆にボトムリフティングが活発な赤ちゃんは寝返りへの移行がスムーズなケースが多かったです。是非、自分のお子さんにも、意識して観察してみてください。

エアプレーン:手足を浮かせて体を反らす

同じく5~6ヶ月頃から、うつ伏せの状態で両手・両足を同時に持ち上げ、飛行機のように体を反らす動作ができるようになります。この動作によって背筋・体幹の伸展筋を強く鍛えることで、「お座りの背中を伸ばす力」と「ずりばいで前に進む力」が育てられます。

うつ伏せでエアプレーンと手をついて上体を支える動きの繰り返しが見られてきたら、次に紹介するピボットターンまでもう少しです。

ピボットターン:うつ伏せでその場を回る

6~7ヶ月頃には、うつ伏せの状態で腕と足の力を使い、その場でくるくると回転する動作ができるようになってきます。上半身と下半身が分離して動かせるようになるとこの動きが出てきて、「ずりばいの準備」だけではなく、「お座りでの重心移動の練習」にもなります。

ピボットターンができるようになったら、ずりばいまであと一歩です。

おすすめおもちゃ:光るキーボード

鍵盤が光りながら音楽が流れるので、視覚・聴覚から赤ちゃんの興味を引きます。そのため赤ちゃんの触りたい気持ちを誘発して、動きを促せます。また鍵盤が軽いので、軽く触れただけで反応する(音が鳴る)のも魅力です。

手・指の発達

3〜4ヶ月では「手を開く・手を伸ばす」という動作ができるようになりましたが、5〜8ヶ月ではさらに「掴む・持ち替える・両手で使う」という意図的な操作へと発展していきます。

掴む力が育つ

手のひら全体で物を掴めるようになります。最初は大きめのものしか掴めませんが、月齢が進むにつれて徐々に小さいものも掴めるようになってきます。

片手だけ掴みが弱い・極端に力が強すぎるといった場合は、筋緊張の偏りが関係していることがあるので、そこにも注目して確認してみてください。

持ち替えで、両手の連携が始まる

片手で持ったものをもう片方の手に持ち替えることができるようになってきます。これは左右の脳が連携した証で、後の「両手を使った作業」に繋がります。

おすすめのおもちゃ

このおもちゃの特徴は、握りやすいサイズ感で軽いプラスチック素材のため赤ちゃんが持ちやすい(持ち替えしやすい)物となっています。この時期の赤ちゃんが自発的にこのおもちゃを持って、楽しく遊んでいる場面をよく目にします。

認知・感覚の発達

この時期の赤ちゃんは様々な認知・感覚の発達があります。しかしどれも専門的で、わかりにくいものばかりですので、親御さんがわかりやすく、目に見えて捉えやすいものを2つ紹介します。

鏡の中の自分に夢中になる

5カ月頃から鏡に映った自分の顔を見て笑ったり、手を伸ばして触ろうとする反応がみられるようになってきます。これはまだ鏡の中の人物が「自分だ」とはわかっていませんが、動くものへの興味と自己認識の芽生えによるものです。

是非、日常的に赤ちゃんに鏡を見せてあげる機会を作ってあげ、認知の発達を促してみてください。

おすすめのおもちゃ:ベビーミラー

ハーフミラー付きで赤ちゃんが自分の姿を認識するきっかけになります。やわらかい素材で安全に触れたり舐めたりできる設計となっているため、この時期の赤ちゃんに安心して使えます。コンパクトに折りたたみ可能でベビーカーや車内にも取り付けられるため、外出先でも活躍できます。

人見知りは、大切な人を認識できた証

6ヶ月前後から人見知りが始まる赤ちゃんが増えてきます。見知らぬ人に対して泣いたり固まったりするこの反応は、「お母さん・お父さんとそうでない人を区別できるようになった」という発達として現れます。

人見知りが強い赤ちゃんを持つ親御さんは大変に感じることもあると思いますが、無理に慣れさせようとせず、安心できる大人との関わりを大事にしながら、ゆっくりと新しい環境に慣れさせてあげましょう。

言語・コミュニケーションの発達

この時期から、赤ちゃんの声はクーイング(母音の声)から喃語へと変化し、コミュニケーションの幅が一気に広がります。

喃語:子音を含む声

6ヶ月頃から、「ばばば」「まままま」といった喃語が出始めます。クーイングと違い、口・舌・唇を複雑に動かすこの発声は、言葉を話すための準備運動です。

親御さんは喃語に対して模倣した返答(例:赤ちゃんの「ばばば」に対して「ばばば」と返す)や、さらにその状況に合わせた言葉を補った返答(例:「ばばば、そうだね、楽しいね」)をすることが、さらに言葉の成長の促しになるので、試してみてください。

名前を呼ばれると反応する

6ヶ月頃から少しずつ、自分の名前を呼ばれると顔を向けたり表情が変わったりするようになってきます。これは自分への呼びかけを理解し始めたということで、言語理解の一番最初の段階に当たります。

赤ちゃんへの関わり方のアドバイス

さきほど説明した3つの必須動作をそれぞれどのように促せば良いのか、お家で親御さんが簡単にできる方法を紹介します。

ボトムリフティングを促すコツ

赤ちゃんの足を持って、自分の手で自分の足を掴ませてあげましょう。足を掴めたらそっと介助の手を放してみてください。自分で足を掴んでお尻を持ち上げ続けようとする動きが引き出されます。

まだ足を掴み続けることが難しい場合は、お尻の下に丸めたタオルなどを入れてみましょう。骨盤が少し持ち上がった状態をキープできるため、難易度を下げることができます。
※本人の成長に合わせて、タオルの高さを下げたり、タオルを入れないでみたりして、難易度を調整してあげてください。

エアプレーンを促すコツ

うつ伏せにした状態で、赤ちゃんの視線の先に興味を引くおもちゃを少し高めに置きます。そのおもちゃを見ようとして顔を上げ、さらに手足も浮かせようとする動きが引き出されやすくなります。
※おもちゃの位置を固定せずに、目の前から徐々に上にあげて、追視も一緒に促すと、より効果的なことが多いです。

ピボットターンを促すコツ

うつ伏せにした状態で、赤ちゃんが少し回転し、手を伸ばせば届く位置におもちゃを置いてあげましょう。おもちゃは先ほど紹介したような音が鳴って、光る系のおもちゃが赤ちゃんのやる気を引き出してくれるのでおすすめです。

左右交互においてあげたり、届いたらまた位置を遠ざけたりして、何度も繰り返すことで回れる範囲が大きくなっていきます。

まとめ

生後5〜8ヶ月の発達について、各分野のポイントを整理します。

  • 運動発達
    寝返り・お座り・ずりばいが順番に育ちます。「できる・できない」より「やりたい意欲が育っているか」を大切に見てあげてください。
  • 必須動作
    ボトムリフティング・エアプレーン・ピボットターンは、次の発達段階への重要な土台です。日常の中で意識して観察してみてください。
  • 手・指の発達
    掴む・持ち替えるという動作が育ちます。左右差がないか観察しておきましょう。
  • 認知・感覚
    鏡への反応と人見知りはどちらもこの時期ならではの発達のサインです。人見知りは大変に感じることもありますが、大切な人を認識できている証として温かく見守ってあげてください。
  • 言語・コミュニケーション
    喃語と名前への反応が言葉の土台を作ります。赤ちゃんの声に積極的に反応してあげることが、言語発達の促しになります。

赤ちゃんによっては8ヶ月頃から徐々にハイハイやつかまり立ちが見られるようになってきます。それらについては、次の「ハイハイ・つかまり立ち期(9〜12ヶ月)」の記事に掲載していますのでご覧ください。

[9〜12ヶ月の発達と関わり方・おもちゃ選び]の記事はこちら

発達全体の流れを把握したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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プロフィール

理学療法士。小児発達領域に10年以上従事。
乳幼児期を中心に、同じお子さんに週に数回ペースで継続的に関わりながらリハビリに携わっていた経験もあります。日常の動きや経過をじっくり追えたことで、停滞しやすいポイントや発達のプロセスを肌感覚で把握できたことが、私の強みになっています。
本サイトでは、その臨床経験をもとに、専門家でない保護者の方でも自宅で実践できる具体的なアプローチをお伝えすることを最優先にしています。

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