「ハイハイはいつ頃始まるの?」
「いつから言葉が出始めるの?」
「この時期に合ったおもちゃって何なんだろう?」
そんな疑問を抱えていませんか?
生後9〜12ヶ月は、赤ちゃんが自分の力で移動し、立ち上がり、周りの環境を自分のペースで探索し始めます。自分で動き回れるようになることで、触る・見る・聞くという経験が一気に増え、体だけでなく頭や言葉の発達も加速していきます。
この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、9〜12ヶ月の発達全体の見方と、日常でできる関わり方・おもちゃ選びのポイントを紹介したいと思います。
9〜12ヶ月の発達全体マップ
この時期に育つ発達の分野を一覧で整理します。それぞれの詳細は後のセクションで紹介します。
| 発達の分野 | この時期に見られる主な特徴 |
|---|---|
| 運動発達 | ハイハイ・つかまり立ち・つたい歩き |
| 手・指の発達 | つまむ・なぐり描き・物を入れる・出す |
| 認知・感覚 | 簡単な指示の理解・模倣遊び |
| 言語・コミュニケーション | 初語・意図的なコミュニケーション |
運動発達
ずりばいで移動していた赤ちゃんが、「ハイハイ」→「つたい歩き」とどんどん目線が高くなっていって、世界が広がっていきます。
ハイハイで、全身の協調運動が育つ
ハイハイは8ヶ月頃から徐々にできるようになってきて、9~10ヶ月頃になると安定してスムーズにできるようになります。ハイハイは手と足を交互に動かす全身運動であるため、全身の筋肉を鍛えることのできるとても重要な動作です。
ハイハイをしっかり経験した赤ちゃんほど、その後の姿勢や運動の安定性が高い傾向にあり、将来の複雑な運動にも関与してきます。

ハイハイの促し方や遅れが気になる場合はこちらの記事で詳しく解説しています。
→[ハイハイの発達と促し方]
つかまり立ちで、重力に逆らう力が育つ
ハイハイとちょうど同じような時期(8ヶ月頃)から少しずつ、つかまり立ちも見られるようになってきます。つかまり立ちは、下半身・体幹の筋力と、立位でのバランス感覚を同時に育てることができます。
つかまり立ちを始めたときの注意点として、転倒のリスクがあるため、「周囲の危険なものを片付ける」・「床をクッション性のあるマットにする」など、安全な環境を整えてあげましょう。

つたい歩きで、歩行の準備が整う
10~11ヶ月頃にはつたい歩きができるようになります。最初は1、2歩しか横に進めなかったのが、徐々に進める距離が伸びていき、「角を曲がったり」、「壁つたいに歩けるようになってきたり」することもできるようになります。ここまできたら一人で歩けるようになるまで、あと一歩です。
つたい歩きが始まったら、赤ちゃんの手の届く高さに安全な家具を配置して、自由に移動できる環境を整えてあげましょう。

手・指の発達
これまでの「手のひら全体で掴む」から「指先で操作する」という細かい動作へと成長していきます。それによって、遊びの幅が一気に広がります。
指先でつまむ力が育つ
8~9ヶ月頃から親指と人差し指でものをつまむ「ピンチ動作」が現れ始めます。これによって小さなものを掴めるようになってくるのです。
このピンチ動作は手の使い方の大事な指標になるので、親指と人差し指がしっかり使えているか、左右差がないかなどを観察しておきましょう。

なぐり描きで、道具を使う力が育つ
11ヶ月頃にはクレヨンや太めのペンを持ってなぐり描きができるようになります。まだ何か目的をもって、絵を描くことは難しいですが、道具を握って動かすという経験が、手と目の協調と手首の動きを育てます。そして赤ちゃんはこの「お絵描き」が大好きなのでたくさんさせてあげましょう。

物を入れる・出すで、手の操作が高度になる
同じく、11ヶ月頃から容器に物を入れたり出したりする動作が盛んになります。これは一見単純な遊びに見えますが、「入れる場所を目で確認して手を動かす」という目と手の連携と、「力を加減して操作する」という高度な遊びなのです。

認知・感覚の発達
この時期の赤ちゃんは、五感がびっくりするくらい成長し、世界が広がっていきますが、ここでは特に親御さんが日常で実感しやすい「簡単な指示の理解」と「模倣遊び」の認知に絞って説明します。
「おいで」「ちょうだい」がわかり始める
9ヶ月頃から徐々に「おいで」「ちょうだい」「ダメ」といった簡単な言葉の意味を理解し始めます。自分で言葉を話すことができなくても、相手の言葉の意味を理解するという「言語理解」の方が先に育つのです。

【各言語に対する反応の例】
- 「おいで」
呼びかけに対して、這ったり手を伸ばして近づこうとしたりする動きが見られるようになります。 - 「ちょうだい」:
手のひらを向けながら言うと、持っている物を渡そうとしてくれます。 - 「ダメ」
強いトーンで言うと、動作を一瞬止めたり、大人の顔色を伺ったりします。
まねっこ遊びが始まる
同じく9ヶ月頃から大人の動作を見てまねをする模倣遊びも徐々に始まってきます。「バイバイ」・「パチパチ」・「バンザイ」といった身振り手振りを大人がやって見せると、同じ動作をしようとしてくれます。これは相手の動きを目で見て自分の体で再現するという高度な認知・運動の連携となっています。
模倣遊びは言葉の模倣(オウム返し)にもつながるため、日常の中で積極的にやって見せてあげましょう。
おすすめのおもちゃ:おもちゃのスマートフォン
大人が日常的に使っている物の模倣は、赤ちゃんの大きな学習意欲を引き出します。5つのボタンそれぞれに異なる反応があるため、どのボタンを押すと何が起きるかを少しずつ学んでいきます。また指先の発達も一緒に育てることができます。

言語・コミュニケーションの発達
赤ちゃんのコミュニケーションが一方的な発声から、相手に伝えようとする意図を持った表現へと変化し始めます。
指差しで、共感が生まれる
9ヶ月頃から興味のあるものを指差して親に伝えようとする「共同注意」が現れ始めます。「あれを見て!」という気持ちを指差しで表現するこの行動は、コミュニケーションの重要な発達のポイントです。

【指差しの3ステップ】
- 自発的指差し(9ヶ月頃)
自分の興味があるものを見つけて、思わず指が出る指差しです。 - 要求の指差し(10ヶ月頃)
欲しいものに対し、大人に「取ってほしい」という自分の意図を伝える指差しです。 - 共有の指差し(11-12ヶ月頃)
面白いものを見つけた時、大人と顔を見合わせながら「あっちを見て」と共感を求める指差しです。
初めての言葉が生まれる
10ヶ月頃から「まま」「ぱぱ」「わんわん」といった意味のある言葉(初語)が出始めます。ただし初語の出現時期には個人差が大きく、1歳を過ぎてから出始める赤ちゃんも多いため、少し遅れていてもあまり焦らなくて大丈夫です。
どちらかというと言葉が出る前の「言語理解」が育っているかどうかの方が重要です。簡単な指示に反応できているなら、言葉の準備は着実に進んでいるので安心してください。

おすすめのおもちゃ:実写図鑑
「理解力」はデフォルメされたイラストではなく、実物の写真に近い図鑑の方が発達を強化させるので、実写図鑑がおすすめです。この図鑑によって語彙力が増えていくのを助けてくれます。
この時期の赤ちゃんへの関わり方
日常の関わり方を少し意識すれば、赤ちゃんの発達にとってメリットが多いです。理学療法士の視点から、関わり方やアドバイスを3つ紹介します。
あえて「すぐに助けない」
親心から先回りしてすぐに助けてしまうと、赤ちゃんの成長のチャンス(考える力など)を逃してしまいます。あえて数秒待つことで、どうすれば良いかを赤ちゃんは自分の頭の中で考え、実際に行動に移すことができます。それが赤ちゃんの成長にとても重要なことです。

感覚と結び付けた言葉の学習
赤ちゃんに何かを教えようとするとき、単に対象物を指差して名前を教えるだけでなく、「触覚などの感覚」と「言葉」を直接結びつける関わり方がおすすめです。そうすることで、言葉と一緒に認知機能も成長していきます。
例)「これはリンゴだよ」と言う際に、赤ちゃんの手にリンゴを触らせ、その「丸み」や「硬さ」、「冷たさ」を感じている瞬間に合わせて、あえて質感を強調した言葉(「ツルツルだね」「かたいね」など)も一緒に伝える。

おもちゃは家にある物で簡単に作れる
市販のおもちゃを買わなくても、家にあるもので簡単に巧緻動作を促すおもちゃが作れます。例えば、ペットボトルの蓋に穴を開けて、ストローを差し込む手作りおもちゃです。
最初は蓋をせずにペットボトルの口にストローを入れる練習から始めて、慣れてきたら蓋の穴を小さくして難易度を上げるなど、子どもの成長に合わせて調整できるのもポイントです。材料費ゼロで作れるので、ぜひ試してみてください(赤ちゃんに合わせて、「280mlの小さなペットボトル」がおすすめです)。
※ストローや蓋の誤飲には十分注意し、必ず大人の見守りのもとで遊ばせてください。

まとめ
生後9〜12ヶ月は、自分で移動して立ち上がり、指先を使い、言葉を理解し始めるという大きな変化が一気に訪れる時期です。各分野のポイントを整理します。
- 運動発達
ハイハイ・つかまり立ち・つたい歩きが順番に育ちます。早く歩かせようとするよりも、ハイハイをしっかり経験させてあげることが大切です。 - 手・指の発達
つまむ・なぐり描き・物を入れる・出すという指先の動作が育ちます。左右差がないか観察しておきましょう。 - 認知・感覚
簡単な指示の理解と模倣遊びはどちらもこの時期ならではの発達です。日常の中で積極的に話しかけ・やって見せる関わりを大切にしてください。 - 言語・コミュニケーション
初語と指差しが言葉とコミュニケーションの大事なポイントです。言葉が出るより「言語理解」が育っているかどうかを意識して観察してみてください。
この時期にしっかり体を動かして探索する経験が、次の「歩行期(1歳〜)」での大きな動きへとつながっていきます。
→[1歳〜の発達と関わり方・おもちゃ選び]
発達全体の流れを把握したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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