理学療法士が教える│乳幼児の発達サポート完全ガイド

「うちの子、なんか動きがぎこちない気がする…」

「発達が遅いって言われたけど、何をすればいいの?」

「月齢通りに発達しているか、自分では判断できない」

赤ちゃんの成長は一人ひとり違います。月齢の目安に一喜一憂するよりも、「今、どの段階にいて、次はどの動きが必要なのか」という発達の順番を知ることが、その子にとって一番大切なことです。

これは成長の遅れや特性があるお子さんも同様です。診断名に捉われず、その子の『現在地』に合わせた対応を重ねることが、身体づくりの本質になります。

理学療法士は姿勢や動作を細かく分析する運動発達の専門家です。私はその理学療法士として小児発達領域のリハビリに10年以上携わり、多くの子どもの「動き」「成長」を見てきました。

『うごきの芽』は、理学療法士としての知見を活かし、お子さんの「今」と「次の一歩」に寄り添う、発達のサポートサイトです。様々な遊びや関わりを通して、お子さんの育ちを支えられる。そんな場所を目指して、価値のある情報をお届けしていきたいと思います。

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目次

運動発達に順番がある理由

首すわり〜歩行までの順番と発達上の意味

赤ちゃんの基本的な運動発達は、首すわり→寝返り→お座り→ハイハイ→歩行とつながっています。なぜこの順番になるのか、それぞれに意味があり、このような順番となっているのです。

1.首すわり → 寝返り

赤ちゃんの頭の重さは体重の約4分の1です。そのため首がすわって、初めてその重さを自分でコントロールできるようになってから、体をゴロンと回転させる寝返りの運動ができるのです。

2. 寝返り → お座り

寝返りで体を捻る動きが首・背中・お腹の筋肉を鍛え、お座りの時に重力に負けない体を作っていきます。

3. お座り → ハイハイ

お座りの姿勢で体幹の安定を学ぶことが、四つ這い姿勢の体幹の安定につながっていきます。またお座りで前後左右に倒れそうになったときに手をついて体を支えるという経験が、四つ這い姿勢に移行するきっかけとなります。

4. ハイハイ → 歩行

ハイハイで左右の手足を交互に動かし、足腰の筋力や全身のバランス感覚を鍛えることで、2本の足でしっかりと立ち上がって歩く準備が整えられます。

各動作の詳細についてはそれぞれの記事で詳しく紹介しています。

前の段階を飛ばすリスク

「早く歩いてほしい」と願う親御さんの気持ちはよく分かります。しかし、発達のステップを飛ばすことには注意が必要です。

親が良かれと思ってサポートしてしまう

例)自力でのお座りが不十分な時期に、バンボやクッションで体を支えて長時間お座り姿勢を作ってしまう、早い段階で歩行器(ベビーウォーカー)に入れて歩かせてしまうなど。

発達段階に無理に合わせようとする

例)「もう10ヶ月だからつかまり立ちをさせなきゃ」と、床での運動(腹ばい等)が不十分なまま次のステップへ進ませようとしてしまうなど。

子どもが自ら飛ばしてしまう

例)過緊張の子だとハイハイをする前に、いきなり高這いやつかまり立ちを行ってしまうなど。

【なぜ飛ばしてはいけないのか?】

例えば、あくまで可能性の一つですが、四つ這いで培われる「肩の安定」や「交互のリズム」が不十分な場合、歩行獲得後に「転んだときに手が出にくい」「姿勢が崩れやすい」といった課題につながることがあります。

※健常な子でも一部の運動をスキップするケースはありますが、発達の流れを知っておくことが大切です。

月齢別・運動発達の目安と見逃せないサイン

発達の目安をコンパクトにまとめました。詳細についてはそれぞれの記事で詳しく紹介しています。

月齢別チェックリスト

ご自宅で簡単に確認できるチェック表(運動発達の目安)です。

月齢◎ できている△ 途中段階
3〜4ヶ月首がしっかりすわっている引き起こすと頭が少し遅れてつく
5〜6ヶ月左右両方に寝返りができる片方にしか寝返りできない
7ヶ月お座りができる両手をついて数秒間座れるが、すぐに倒れてしまう
8ヶ月ハイハイができるハイハイの姿勢は取れるが前に進めない
9ヶ月つかまり立ちができる何かに掴まって立ち上がろうと腰を浮かす
10~11ヶ月つたい歩きができるつたい歩きが1〜2歩だけできる
12〜15ヶ月一人で歩ける2〜3歩歩ける

3~4ヶ月の運動発達の記事はこちら

5~8ヶ月の運動発達の記事はこちら

9~12ヶ月の運動発達の記事はこちら

※「うちの子、この月齢の項目がまだできていない…」と感じたら、専門家に相談する価値があります。メールにて相談を受け付けていますので、お気軽にご相談下さい。→ お問い合わせ

歩行はゴールではなく「スタート」

「一人で歩けるようになった!」というのは大きな喜びですが、歩行の獲得はゴールではなく、より豊かな体の使い方への入口です。

1歳を過ぎて幼児期に入ると、動きはさらに高度な方向へと進化していきます。

【13〜18ヶ月】「歩行の安定」と「重心操作」

歩くこと自体の安定性を高め、「しゃがんで再び立つ」など重心を自在に操る動きが出てきます。

【19〜24ヶ月】「速度」と「方向」のコントロール

動きが速くなり、止まったり曲がったりができるようになります。また「ボールを蹴る・階段を昇る」などもできるようになります。

【25〜36ヶ月】「跳躍」と「片足バランス」

両足ジャンプや片足立ちが出現し、三輪車・遊具を通じて手足と体幹を連動させる能力が飛躍的に高まります。

乳児期に積み重ねた『質の高い動き』は、幼児期の新しいチャレンジをよりスムーズに、力強く支えます。このサイトでは、幼児期の発達を支えるヒントも順次お届けしていきます。

その「遅れ」は個人差か、サインか?

理学療法士は、発達を「スピード(量)」だけでなく「動き方(質)」の2軸で判断します。

「量」の遅れ

獲得月齢が目安より1〜2ヶ月遅れていても、発達の「順番」を飛ばさずに進んでいるなら、それはお子さんのペース(のんびり派)である可能性が高いです。「いつできるか」より「順番を守っているか」を重視しましょう。ただし、3〜4ヶ月以上の遅れがある場合は、専門家への相談を検討するサインです。

「質」の違和感

月齢以上に確認してほしいことは、以下のチェックポイントです。

  • 左右差
    片方ばかり使う、片足を引きずるなど「偏り」がないか。
  • 緊張の質
    体がガチガチ、あるいはグニャグニャで「支えにくい」。
  • パターンの固定
    いつも同じ動きしかしない。
  • 姿勢変換の質
    姿勢を変える時にスムーズか、崩れるように動いていないか。
  • 移動の方法
    シャフリング(お座りのまま移動する)など、特殊な移動パターンがないか

こうした動きの違和感の背景には、脳の成熟とともに消えていくべき『原始反射』が深く関わっていることがあります。詳しい仕組みについては、別記事で解説していきます。

家族ができる「最高のサポート」

脳が急成長している乳幼児期だからこそ、家族のサポートが最も効果的に働く時期です。

今の状態に合わせた遊びやおもちゃを取り入れて発達のきっかけを与えてあげること、この『正しい日々の関わり』こそが、身体の土台を整える最も効果的なアプローチであり、親御さんにしかできない最高のサポートです。

まとめ:親ができる最善は「観察眼を持つこと」

  1. 運動発達には「正しい順番」がある
    「いつできるか」よりも、「ステップを飛ばしていないか」を重視しましょう。
  2. 「量」より「質」に目を向ける
    左右差や体のガチガチ・グニャグニャは、小さなサインかもしれません。
  3. 歩行はゴールではなく、新しい発達の「スタート」
    乳児期の「質の高い動き」が、幼児期のチャレンジを支えます。
  4. 「正しい日々の関わり」は今すぐできる最高のサポート
    適切な玩具選びや遊びを通じて、発達のきっかけを整えてあげましょう

知識を持つ親御さんの温かい眼差しが、お子さんの可能性をどこまでも広げます。これからも、このサイトと一緒に「うごきの芽」を大切に育てていきましょう。

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プロフィール

理学療法士。小児発達領域に10年以上従事。
乳幼児期を中心に、同じお子さんに週に数回ペースで継続的に関わりながらリハビリに携わっていた経験もあります。日常の動きや経過をじっくり追えたことで、停滞しやすいポイントや発達のプロセスを肌感覚で把握できたことが、私の強みになっています。
本サイトでは、その臨床経験をもとに、専門家でない保護者の方でも自宅で実践できる具体的なアプローチをお伝えすることを最優先にしています。

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