「1歳になったのに、まだよちよち歩きで大丈夫?」
「言葉がなかなか出てこない」
「この時期ってどんなおもちゃが合っているの?」
そんな疑問を抱えていませんか?
1歳〜1歳半は、歩くことが少しずつ安定し、手先が器用になり、言葉やジェスチャーで気持ちを伝えることができるようになってきます。また「イヤ!」と首を振ったり、大人の真似をして遊んだりと、個性や意思がはっきり見え始めます。
この記事では、理学療法士として発達障害の領域に10年以上携わった経験をもとに、1歳〜1歳半の発達全体の見方と、日常でできる関わり方・おもちゃ選びのポイントを紹介したいと思います。
1歳~1歳半の発達表
この時期に育つ発達の分野を一覧で整理します。それぞれの詳細は後のセクションで紹介します。
| 発達の分野 | この時期に見られる主な特徴 |
|---|---|
| 運動発達 | 歩行、しゃがむ、段差の昇り降り、ボールを蹴る・投げる |
| 手・指の発達 | 細かいピンチ動作、積み木を積む、型にはめる |
| 認知・感覚 | 形の違いの認識、言葉の理解による行動、ごっこ遊びにつながる模倣 |
| 言語・コミュニケーション | 一語文の増加、応答の指差し、首振りによる拒否 |
運動発達
歩くことを中心に体全体の動きがどんどん広がっていきます。歩行が安定するにつれて、しゃがむ・段差を越える・ボールを蹴るといった動作が少しずつできるようになります。
歩行

1歳前後で赤ちゃんは自分一人で歩くことができるようになります。最初はバランスを取るためにややがに股で、大きく手を挙げた姿勢で歩きますが、徐々に安定感が増すにつれて『足幅が狭くなったり』、『手が下がってきたり』、『方向転換』ができるようになったりしてきます。
こちらでは幼児の歩行について、詳しく紹介していますのでご覧ください。
▶歩行の記事(未作成)
しゃがみ動作

しゃがむ動作は真っすぐ立った姿勢とは異なり、重心を前後・上下に大きく動かす必要があり、一定以上の体幹の安定性が必要です。そのためよちよち歩きの時期を過ぎたころから、だんだんできるようになってきます。
このしゃがむ動作は『床にある物を拾いたい』、『近くでじっくり見たい』という気持ちが芽生えてくることで、自然と行うようになってきます。
しゃがむ動作の発達上のメリット
- 下半身の筋力アップ:股関節・膝・足首をコントロールする筋肉が鍛えられる
- 足裏の感覚が育つ:倒れないように足の力を微妙に加減できるようになる
- 空間認知が広がる:目線の高さが変わることで、三次元の空間を捉える力が養われる
段差の昇り降り

1歳〜1歳半になると、玄関・公園・階段の1段目などの段差を手や体全体を使って越えられるようになってきます。
昇り方
数㎝程度の低い段差であれば、段差の手前で一度立ち止まり、壁や家具に手をついて体を支えながら足を持ち上げて越えます。しかし段差が高かったり、まだ体が不安定な場合にはハイハイの姿勢で乗り越えます。
降り方
座った姿勢でお尻をずらしながら足から降りるか、後ろ向きのハイハイで降ります。
段差の昇り降りでは、必ず片足だけで体を支える瞬間があります。この瞬間を支えているのが骨盤・お尻まわりの筋力です。この筋力はそれまでのハイハイや高這い、つたい歩きといった動作を通じて少しずつ鍛えられてきます。
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安全に段差の昇り降りの練習を行うことができます。
ハイハイやつたい歩きを行う時期の発達に関してはこちらで紹介しています。
▶生後9〜12ヶ月の発達と関わり方・おもちゃ選び
子供の発達の進み具体によっては、1歳半に近づいても、降りるときに危険な行動をしてしまう場合があるので注意が必要です。例えば、手から先に降りて頭から突っ込んでしまったり、立ち止まらずそのまま歩いて降りようとしたりします。これは『高低差の見積もり』や『足元を見ながら動く』、『体の傾きを察知する』などの能力が未熟な場合に見られる行動です。
ボールを投げる・蹴る

歩行が安定し、両手が完全に自由になることで『ボールを投げる動作』が、片足に一瞬だけ体重を乗せるバランス能力が育つことで『ボールを蹴る動作』ができるようになってきます。
投げる
両手でボールを持ち、体の正面に向かって下から前へ押し出すように投げるか、上から床に叩きつけるようにして投げます。
蹴る
ボールに向かって歩いていき、そのままの勢いで足を当てるような蹴り方になります。立ち止まってから蹴るという動作はまだ難しく、歩く流れの中で蹴ることがほとんどです。
ボールを投げたり蹴ったりする遊びの発達上のメリット
投げる動作
体幹や肩まわりの筋力が鍛えられます。
蹴る動作
片足立ちの瞬間を支える股関節まわりの筋力とバランス感覚が鍛えられ、さらに動いているボールを目で追いながら体を動かす力も育ちます。
手・指の発達
1歳〜1歳半になると、手や指の動きがさらに細かくなってきます。手を使った遊びの幅がどんどん広がっていきます。
細かい物のピンチ動作

親指と人差し指で物を掴む動作は1歳を過ぎると、さらに小さく、細かい物まで掴めるようになります。例えば、糸くずや大豆、お菓子のボーロなどを指先だけで挟むようにして掴みます。
発達への影響
指先の細かい動作ができるようになることで、その後の『スプーンを使う動作』、『衣服のボタンを留める』、『クレヨンを持つ』といった動作につながっていきます。
注意点
小さいものを何でも掴めるようになることで、それを誤飲してしまうリスクも生まれます。そのためこれができるようになったときは、赤ちゃんが飲み込んで危険になるものを手の届く位置に置かないなど、おうちの環境を見直すきっかけにしてください。
積み木を2~3個積む

手の細かい動作ができるようになることで、自分が狙った位置で物を離すことができるようになります。さらに積み木をどこに置けば、崩れないかを見極める力もついてきます。これによって積み木を縦に重ねることができるようになるのです。上手な子はさらに3個目まで積めるようになります。
発達への影響
- 手の操作性アップ:この遊びを行うことで、力加減して手を操作するという能力が育ちます。
- 空間認知が広がる:縦に積むことで上下の空間を認知する知能が育ちます。
この時期の子どもに適した積み木は『大きめサイズ』がオススメです。
型にはめる動作

物の形を見て、その形に合わせて入れようとする動作が少しずつできるようになってきます。この時期はまだ三角や四角などの複雑な形は難しいですが、丸であれば入れられるようになります。
型はめのおもちゃで初めて遊ぶときは、同じ丸でも円柱ではなく球体のブロックを入れるタイプを選んであげましょう。
1歳半に近づくと、少しずつブロックを回転させて向きを修正するという試行錯誤がみられてきます。またこれも力加減して手を操作するという能力が育っていきます。
『型はめパズル』として球体の物を探すのは難しいため、『ボール落とし』で球体を型にはめる遊びの練習から始めましょう。
認知・感覚の発達
物事の『仕組み』や『意味』を少しずつ理解し始めてきます。形の違いに気づいたり、言葉を聞いて行動したり、大人の動作を自分の遊びの中に取り込んだりと、日常のあちこちで認知の育ちが見えてきます。
形の違いの認識

目で見た物のシルエットの特徴や手触りの情報から形の違いを認識し始めます。最初は丸から認識し始め、徐々に丸以外の角がある形(三角や四角)というように認識できる形が増えていきます。
この視覚的な違いを見分ける力が将来の文字の形を見分ける能力につながっていきます。
お子さんと一緒に、日常的に『丸』の物を探して教えてあげると、発達に良い影響を与えます。
言葉の理解による行動

子ども自身が話す言葉の数はまだ少ないですが、大人の話す言葉を聞いて理解する力はその何倍も育っています。さらにその聞いた言葉を理解して反応することもできるようになってきます。
1.日常の『よくある指示』に応じる
- 「ポイしてきて」と言うと、ゴミをゴミ箱に入れに行く。
- 「おいで」と言うと、その通りに歩いてくる 。
2.その後の展開を予測する
- 「ブーブー(お散歩)行くよ」と言うと、嬉しそうに玄関へダッシュする。
- 「マンマ(ご飯)だよ」と言うと、自分のベビーチェアのところへトコトコ歩いて座ろうとする。
言葉の出方には個人差が大きく、なかなか出てこないこともありますが、言葉の理解が成長しているのであれば、しっかりと認知面は育っている証拠になるので、過度に心配する必要はありません。
ごっこ遊びにつながる模倣

この時期の模倣は、大人の動きを『その場ですぐに真似する』段階から一歩進み、大人の日常の行動をじっと観察して、『自分の遊びの中に再現し始める』へと変化します
道具の『機能』を真似する(1歳〜1歳前半)
- スマホやリモコンを耳に当てて、おしゃべりする真似をして「あー、あー」と言う。
- スプーンを口に運んで、食べる真似(もぐもぐ)をする。
大人の『役割(お仕事)』を真似する(1歳半に近づく頃)
- ママやパパが床を拭いているのを見て、ティッシュやハンカチを持ってきて一緒に床をゴシゴシと拭き始める。
- 大人がカバンを肩や腕に下げているのを見て、自分もおもちゃのバケツなどを腕に掛け、歩き回る。
この遊びを通して、『自分もできた』という気持ちや自立心が育ち、また短期記憶の発達や運動の再現力も高めることができます。
言語・コミュニケーションの発達
言葉の数が増えるだけでなく、『指差し』や『首振り』といったジェスチャーを使って、自分の気持ちや意思を相手に伝えようとする力が育ちます。言葉とジェスチャーを組み合わせながら、少しずつ『やりとり』ができるようになっていきます。
一語文の増加

子どもの口まわりの筋肉や発声が発達することで、言葉(一語文)の数がどんどん増えていきます。
- 身近な人・物: 「ママ」、「パパ」、「ブーブー(車)」、「ワンワン(犬)」
- 欲求・行動: 「マンマ(ご飯)」、「ネンネ(寝る)」、「アケテ(開けて)」
- 生活の挨拶: 「バイバイ」、「ドーゾ」
この時期の特徴として、同じ1語でもその場の状況に応じて、違った意味が込められています。
例えば、同じ「ワンワン」という一語でも、状況によって「あそこに犬がいるよ(報告)」、「犬がこわいよ(感情)」、「犬を触りたい(欲求)」などの意味があるのです。
1歳半健診では『単語が5個以上』という目安がありますが、個人差が大きい部分なので数よりも、『意味を持って使えているかどうか』大切にしてあげましょう。
応答の指差し

大人の質問を理解して、自分の意思を指先で伝える『会話』が始まってきます。
例えば
- 「パパはどこ?」と聞くと、パパの方を指さしたり、そちらを振り向いたりする。
- 絵本で「ワンワンどこ?」と聞くと、犬の絵を探して、指し示してくれる。
- 「バナナとリンゴ、どっち食べたい?」と実物を見せて聞くと、自分の欲しい方を指差しする。
最初からたくさんの物から選択することは難しいです。まずは「2~3択」に絞って、それを答えてもらうようなやり取りをしましょう。
首振りによる拒否

それまでは不快に対して、泣き叫ぶことしかできなかったのが、「それは嫌だ!」「いらない!」という自分の明確な意思を『首を横に振るというジェスチャー』を使って相手に伝えることができるようになります。
例えば
- ご飯やおやつをスプーンで口元に持っていったとき、お腹がいっぱいだったり気分じゃなかったりすると、首を横に振って拒否する。
- 「お着替えしよう」「おもちゃ片付けようね」と声をかけたときに、まだ遊びたくて首を横に振り、大人の顔をじっと見つめる。
子どもが首を振ったら、まずは「そっか、今はこれ嫌なんだね」と受容してあげ、その上で「じゃあ、こっちにする?」と選択肢を出してあげる関わり方が望ましいです。そうすることで子どもの『理性の脳』が育ち、イヤイヤ期の激しさが緩和されることが多いです。
まとめ
1歳〜1歳半は、歩行が安定し、手先が器用になり、言葉やジェスチャーで意思を伝えようとする力が一気に育つ時期です。各分野のポイントを整理します。
- 運動発達
歩行の安定とともに、しゃがむ・段差を越える・ボールを蹴るといった動作が少しずつできるようになってきます。転んでも立ち上がれるよう、安全な環境の中でたくさん体を動かす機会を作ってあげましょう。 - 手・指の発達
細かい物をつまむ・積み木を積む・型にはめるといった指先の動作が育ちます。日常の遊びの中で手を使う機会を積極的に作ってあげましょう。 - 認知・感覚
形の違いに気づいたり、言葉を聞いて行動したり、大人の動作を遊びの中で再現したりと、物事の「仕組み」や「意味」を理解し始めます。 - 言語・コミュニケーション
一語文が増え、指差しや首振りで気持ちを伝えようとするようになります。言葉の数よりも、意味を持って使えているかどうかを大切に観察してみてください。
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